坂本龍一:音楽は自由にする
坂本龍一 / 音楽は自由にする (2009)
自身を作り出した音楽的な素養はもちろん、友人たちとの関係、政治的な思想などをも含め、語り口調となって非常に良く記されています。
自伝的な内容となっており、インタビューを元に、雑誌に連載されていたものをまとめたのがこの本です。
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私は坂本龍一氏に関係する音源は、YMOしか持っていません。しかしながら、読み進めるにつれ、YMOはミュージシャンとしての大事な土台でありますが、あくまで一面なんだなと実感。
幼少からクラシックに傾倒しており、同時に作曲も師について教わっていた事を、この本で初めて知りました。少年の場面にて、自負されていた「ドビュッシーの生まれ変わり」とは微笑ましいですが、そのくらい作曲家に対して感銘を受けれるなんて羨ましいです。
綴られる文章の端々で見受けた印象は、「あ、この方は結構ナイーブ」なんだなと。
社会活動などのニュースで垣間見られる、氏の醸し出す淡々とした雰囲気しか知りませんでしたので、このナイーブ感が少し意外でした。
70年代後半、日本のキーとなる作曲家、ミュージシャンと繋がっていくあたりは、リアルタイムでなくとも「おおっ」となる場面がチラホラ。
今までのソロアルバムや作曲した映画音楽など、この本を片手に時系列で聴いてみたくなる好内容でした。